今年の現代美術を総括する配信の録画をみる。司会のつくった年表をみながら、登壇者がコメントしていく。司会が司会をしすぎていて、あまり登壇者が話せていなかった。途中で司会が私見を挟み、それもすごく極端なことを言うから、非常に不愉快だった。けっきょく、そこで観るのをやめる。
昨夜から読んでいた安部公房の『第四間氷期』を読み進める。ディストピア小説を久しぶりに読む。というより、小説じたい読むのが久しぶり。こうやって時間をとってゆっくりと文を噛み締められるのはすごく喜ばしいことだ。しかし、内容は気味が悪く、それも安部の筆致で読み進めることができてしまうから恐ろしい。
少し散歩をする。外はコートがいらないほどあったかかったけど、妙に風が強かった。近所の本屋さんで今年最後の買い物。気になっていた『自称詞<僕>の歴史』、ワークショップで必要な『女ことばってなんなのかしら?』、そして植本一子の『愛は時間がかかる』と寺尾紗穂の『天使日記』を購入。店主が言うには、本屋を20時から夜中の2時まで空けるらしい。相当な根気だ。ぼくはたぶんそのとき寝ている。帰り際に風で携帯を道路に落とし、すでに傷ついている液晶にまた二つほど傷をつけ、すこしだけ画面にオレンジ色の跡がついた。もはやあんまり関係ない。
ビールを飲み寿司を食べながら、紅白の最初を観る。知っている人たちと知らない人たちが新しい学校のリーダーズの首振りダンスをする。SUZUKAが司会の有吉にむかって、ファルスの振り付けをするところは象徴的だった。家父長的な有吉にたいしてファルスを突きつける。オトナブルーという曲も和田アキ子の曲のメロディーを借りながら、若い女性の性的なイメージを強化させるものの、もちろんそれは男根の反覆を狙っていて……、非常に複雑な曲だ。それが紅白という男女二元的な番組の冒頭におかれるのはいかにもトラブルメイキングだという感じだ。
観客のうるささ以外はよかったパフュームのパフォーマンスが終わり、チャンネルを切り替えると、ちょうど久石譲が出ていた。しかも、昨日の自分と同じではダメだ、みたいなかっこいいことを言っていた。普通に沁みた。そのまま第九を聴く。指揮者の下野さんも熱心で魅力的な人だと感じた。
テレビは衰退した、とか言いながら、けっきょくテレビをみてしまう。それ以外にとくにやることもない。本を読むか寝るくらい。そんなふうに年は自分のうえを越えていく。