2023.10.29

インスタグラムをみていると、仮装をした人たちがなんだか楽しそうにしている。ハロウィンだ。ハロウィンという行事も日本では最近といってもここ10年くらいで台頭したが、アメリカでは昔からある行事だから、この季節になるとみんな仮装して大学の授業に出ていて、それはその空気が楽しかった。しかし、私がわざわざお店に行って仮装のための服を買うことはなかった。たいていは普段は着ない服を着る口実として使っていたから、タンスに入ったスーツを着たりしていたのを思い出す。そういえば、今日の原泉での受付でもスーツを着たお客さんが二人来ていて、一人は市議会議員で、もう一人は「パフォーマンスとして」スーツを着ていた。その人は「趣味で」同人誌のデザインをやっているらしく、結束バンドを使って虫をつくったものやデザインしたポスターを見せてくれた。たぶん15分くらい話したと思う。そういった普段話し相手がいない中年男性を駅の本屋でも見かけた。閉店間際の本屋で、いつもの店員さん(ほぼ毎日いるんじゃないかというくらい見かける)に対して、黒いマスクをしたダンディと言ってもよい中年男性が一方的に話していた。話を聞いてみると、滑舌があまり良くなくマスクもしているので、声が聞き取りづらいものの、「オリオン座流星群」という言葉は聞き取れた。5分くらい永遠と一方的に話している一方で、店員さんは一点を見つめ微動だしない。店員さんがどう思っているのかは知らないけど、僕だったら嫌だと思って、適当に気になった本を店員さんのところまで持っていくと、男性は話をやめた。支払いを終えた後、僕は何を思ったかその男性に「もうすぐ閉店ですよ」と呼びかけた。しかし、彼はまた聞き取りづらい声でなにかを僕に言ったのち、再び店員さんに話し始めた。もう僕も疲れていたので、閉店間際の本屋を去ったけど、なんだか店員さんには申し訳ないことをしたなと思った。帰宅するまでの間、歩いているときも、結局は自分の行動が自分の気持ちを店員さんに押しつけていたのではないか、と買うつもりもなかった本を手に悶々としつつ帰路についた。